2026-06-18
【イベントレポート】経産省主催「Global South – Japan Tech Talent Internship 事業説明会」〜3社の受け入れ実践から見えてきた、グローバルサウス人材活用の第一歩〜

「エンジニア採用が年々難しくなっている」「理系の即戦力が見つからない」。これらは、製造業からIT企業まで、規模を問わず多くの日本企業が直面している現実です。その解として、いま注目が集まるのがグローバルサウス諸国の高度理系人材です。
2026年5月29日、東京・日本橋にて、経済産業省主催「Global South – Japan Tech Talent Internship(GS-JTI)」事業説明会が開催されました。イベントはリアルとオンラインのハイブリッド形式で行われ、昨年度の事業に参加した3社によるパネルディスカッションが大きな注目を集めました。
本レポートでは、GS-JTI事業の概要と、パネリスト3社が語った受け入れ体験のリアルをお伝えします。セッションでは「参加しない手はない」「これだけ手厚いサポートをいただける機会はなかなかありません」といった声も聞かれました。プログラムへの参加を迷っている企業の方にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。
イベントではGS-JTI事務局のプロジェクトマネージャーでもあるデロイト トーマツ ベンチャーサポート(以下「DTVS」)・山田達也氏より、前年度までの実績報告と事業説明が行われました。
山田氏(DTVS):
グローバルサウス人材への関心は非常に高い一方、「関心はあるが、次の一歩が踏み出せない」という企業が多いのが実情です。また、すでに取り組みを始めた企業からは、成果を確認してさらに加速させたいというニーズもあります。本事業は、この双方を支援することで、グローバル人材活用を日本全体で促進することを目的としています。
プログラムの柱は大きく2つ、「雇用促進イベント」と「インターンシッププログラム」です。

雇用促進イベントでは、インド・バングラデシュ・スリランカ・ベトナムの4カ国で計7回の大学訪問ツアーを実施します。1回7社で2校を訪問し、①就職支援課・大学教員との交流、②セミナー形式で自社を学生に紹介する企業プレゼンテーション、③学生と企業のラウンドテーブルという3本立てで構成されています。
昨年のBITS Pilani校訪問では6社で約1,200名もの学生が集まり、IIT Gandhinagar校では学生がスーツを着て来場するなど、現地学生の日本への熱量が伝わるエピソードも紹介されました。

大企業・中堅企業・スタートアップ、製造業・IT問わず、現地に出て行けば学生の関心を集められることも確認されています。「自社が学生から関心を持ってもらえるか不安」という企業様も、ぜひご相談ください。
インターンシッププログラムは、グローバルサウス諸国の理系学生を2週間〜2ヶ月(9月〜2月)の期間で受け入れるプログラムです。
Talendyというオンラインマッチングプラットフォームを通じ、求人登録から面接・オファーまでを一元管理できます。初めて取り組む企業には宿泊費・往復航空券を含むほぼフルパッケージで費用支援があります。JETROによる「高度外国人材活躍推進コーディネーターによる伴走型支援(別途申込・審査あり)」との併用も可能です。
山田氏(DTVS):
雇用促進イベントでは「こういう人たちとなら一緒に働ける」という実感が得られ、社内でインターンシップ・採用への一歩を踏み出すきっかけになったというお声を多数いただいています。「思った以上に優秀だった」という感想はもちろん、「組織に多様性を受け入れる土壌ができた」「社内の海外市場への意識が高まった」など、採用面以外でのメリットを実感する声もいただいています。
雇用促進イベント、およびインターンシップの一次締め切りは6月30日です。ご関心のある企業は早めの申し込みをお勧めします。

パネルセッションでは、昨年度のプログラムに参加したパネリストが参加の経緯を語りました。
黒田氏(石原産業):
昨年度は、インドの現地大学訪問ツアーに参加させていただきました。
社内では「優秀な外国人材を採用したい」という声はあったものの、言語の問題や文化・習慣の違いへの不安から、なかなか一歩が踏み出せない状況でした。できない理由ばかりが挙がる中で、「まず参加してみて、実際どうだったかを社内に展開する」アプローチが最も手っ取り早いと判断しました。参加費用を事務局が支援してくださる点も、ハードルを大きく下げてくれました。
南氏(名友産商):
弊社は自動車部品・機械部品の製造を行っています。ここ数年、国内留学生のインターンシップに取り組んできましたが、文系の割合が増えてきたため、製造業として理系人材を海外から確保したいと考えるようになりました。
弊社はすでに多国籍の社員が在籍しているため、比較的受け入れ体制は整っていましたが、昨年は初めてインドからの方を受け入れしましたので、ベジタリアン対応(近隣のインド料理店でのテイクアウトや、スーパーでの買い出し同行など)には少し苦労しました。ただ、既存の多国籍社員がいろいろアドバイスをくれたため、比較的スムーズに対応できました。

山田氏(Veneno Technologies):
弊社は産総研発の研究開発ベンチャーで、もともと外国籍研究員への抵抗感がない環境でした。そのため社内の議論はほとんどなく、「とにかく優秀な人が採れればいい」という方針でインターンシップに参加しました。
弊社が受け入れたのはコロンビア出身の40代以上の方でした。「フレキシビリティの面で大丈夫か」という社内の懸念もありましたが、実際に迎えてみると極めてITスキルも優れており、ポジティブで誠実な方でした。国籍も年齢も関係ない、というのが今回の大きな気づきです。
同等のスキルを持つ日本人IT人材を採用しようとすると1,000万円以上のコストがかかるところ、インターンシップで費用を抑えながらその人となりと能力を見定められたのは非常に良かったです。現在もパートタイムで継続して働いていただいており、満足度は高いです。

黒田氏(石原産業):
弊社ではツアーの報告を社内共有した後、日本の大学に留学しているインド人学生に「まず2日間の会社見学」という形で来てもらいました。たどたどしい英語でもコミュニケーションが取れることや、「インドの学生って案外真面目だな」という印象を社員に持ってもらえ、受け入れのハードルが下がりました。
3ヶ月後、同じ学生に1週間来てもらい、専門業務も取り入れながら相互理解をさらに深めました。この間に学生が自発的に日本語の勉強を始め、片言の日本語を話すようになっていたことも、社員に大きなプラスとなりました。
インドに対して先入観を持たれている方も多いと思いますが、対面で接すると眼差しが純粋で向上心があり、真面目です。「自分が持っていたイメージとは違う」という気づきが、社員にとって大きな変化でした。

黒田氏(石原産業):
大きな収穫は大学・学生との交流そのものですが、もうひとつは同じツアーで参加した企業との横のつながりができたことです。業種は異なっても、グローバル人材活用という同じ目的を持つ仲間として、抱えている課題・不安・問題点が共通していることを確認し合えました。互いに励まされ、より前向きになれました。
南氏(名友産商):
弊社の会社説明会では会場に3,200名が集まり、ブースには800名が来場するという規模感でした。
同業他社では今年の新入社員が1名もとれなかったという声も聞く中で、このプログラムのチャンスを活かせたことは弊社にとって大きな収穫です。このカリキュラムがあるのにやらないのはもったいないと感じており、知り合いの企業にも声をかけています。
山田氏(Veneno Technologies):
インターンシップ終了後も、コロンビアに帰国した方を週1回のリモート会議でパートタイム雇用し、現在も継続して働いてもらっています。地球の裏側から高度人材を引き付けられたことが最大の収穫です。
AI・IT分野に限れば、場所・国籍を問わずリモートで十分に働いてもらえると実感しています。「リモートでAI・IT人材が欲しい」という企業の皆様には、リモート雇用というオプションも検討いただければと思います。

参加者からの「インターンシップで受け入れた学生が自社に就職してくれるか不安だが、何か工夫していますか?」という質問に対し、パネリストが回答しました。
山田氏(Veneno Technologies):
良好な人間関係の構築に尽きると思います。日頃からコミュニケーションをとり、信頼関係が醸成されれば、インターン生も引き続きそのポジションで働きたいと思うでしょう。
南氏(名友産商):
インターンシップのカリキュラムを来日後に学生と打ち合わせして再設計し、学生の専門性を活かした内容にしています。最終的には習得した成果を日本語で社内発表してもらい、「やり遂げた」という達成感を持って帰ってもらうようにしています。帰国前に涙を流して「頑張って日本語を勉強するので採用してください」と言ってくれる学生もいます。
黒田氏(石原産業):
このプログラムはゴールではなく、一つのきっかけです。ぜひ現地に行き、現地の人と話し、現地を自分の肌で感じていただきたい。私は今年に入って毎月のようにインドを訪れています。インドの学生の熱気に触れ、日本との違いを実感するたびに、インドがより好きになっています。まずは現地に行ってみることを強くお勧めします。
南氏(名友産商):
人材採用が厳しい中、これだけ手厚いサポートをいただける機会はなかなかありません。「不安」「自信がない」という方も、まず申し込んで話を聞いてみるだけでも良いきっかけになります。ぜひチャレンジしてください。
山田氏(Veneno Technologies):
コストを抑えながら優秀な人材採用に繋げられるという点が最大のメリットです。AI・IT人材を費用をかけずに「お試し」で受け入れ、その人となりと能力を見定められる貴重な機会です。参加しない手はないというのが正直な印象です。ぜひご検討ください。

【申し込み締め切り】
・雇用促進イベント(現地大学訪問ツアー):6月30日
・インターンシッププログラム 一次締め切り:6月30日
お申込みは【こちら】から(GS-JTI事業ホームページ)